リハビリテーション

3.業務独占資格・名称独占資格とは【違いが詳しくわかります】

2018年6月9日

「将来仕事につく上で、国家資格の中に業務独占や名称独占というものがあることがわかったけど、違いがよくわからない」

「そもそも知っていて業務になにか影響あるの?」

と思っている方もいるのではないでしょうか。

 

この記事では業務独占資格、名称独占資格の違いがわかるだけでなく、将来の仕事を探す上で参考にしていただいたり、現在している仕事への影響もわかります。

この記事を書いている私は

10年以上作業療法士として働いています。

経験した分野は亜急性期、一般、回復期、療養、訪問です。

複数の学会発表経験あり。

病院や施設での複数の公演経験あり。

 

本記事の流れ

  • 業務独占資格・名称独占資格の違い
  • 業務独占資格について
  • 名称独占資格について
  • 設置義務資格について
  • なぜ俳優や女優はドラマの中で医師を演じても違反にならないのか
  • 整体院を開業したけれど、そのまま療法士の資格を名乗るのは大丈夫?
  • 療法士は業務独占資格を目指すべきなのか
  • まとめ

 

業務独占資格・名称独占資格の違い

 

今回も結論から言います。

 

業務独占資格とは「その資格を持っている人しかその業務をしてはいけない資格」

 

名称独占資格とは「名乗ることだけは資格を持っている人しかできないが、業務は誰でも行って良い資格」

 

です。

 

あなたはこう思いませんでしたか?

 

「名称独占資格って、名乗るだけで誰でもやっていいんだったら資格とする意味なくない?」

 

わたしも最初はそう思いました。

 

我々作業療法士は名称独占資格に当てはまります。

 

私は作業療法士を名乗ることができますが、作業療法士の仕事は理学療法士でも看護師でも、一般の方でも誰でもしていいんです。

 

もはや一般の方ができるようになったら、我々の価値はなくなるって思ってしまいませんか?

 

ですが、そんなことはないんです。

 

業務独占資格と名称独占資格の違いはすでに説明したので、ここで終わってもいいのですが、ここから更に深堀りをして考えていきます。

 

「それぞれの独占資格の一覧は?」「名称独占資格の価値って何?」「名称独占資格は業務独占資格を目指すべきなのか?」「もし業務・名称独占資格に違反したらどうなるの?」

 

などの疑問が解決します。

 

ぜひ最後まで読んでください。

 

業務独占資格について

 

業務独占資格の定義は

 

「特定の業務に際して、特定の資格の免許、免許などを有するものだけが行うことができ、資格がなければその業務を行うことが禁止されている資格のこと」

 

です。

 

業務独占資格の一覧のついてはこちらのサイトをご参照ください。

 

総務省が管轄するページです。医師や看護師などがそれに当たります。

 

ですが、医師や看護師の業務すべてを独占しているというわけではありません。

 

確かに医師の手術や薬を処方すること、看護師の駐車などの専門的な医療行為については業務独占に当たるでしょう。

 

しかし、血圧を測ったり、体調を確認する業務は独占するわけには行きません。

 

我々療法士でも行わなけれべなりません。

 

なので、業務独占資格にあたる資格の、すべての業務が独占されていると思わないようにしましょう。

 

また、上記のサイトをみて頂いたらわかるのですが、理学療法士、作業療法士も業務独占資格に含まれています。

 

あれ?私は理学療法士や作業療法士は業務独占資格ではなく、名称独占資格で習ったんですけど、、、

 

なら、名称独占資格を調べたらわかるかもしれない!次に行ってみましょう。

 

名称独占資格について

 

名称独占資格とは、

 

「資格がなくてもその業務に従事することはできるが、資格取得者のみ特定の資格名称(肩書き)を名乗ることができ、資格を所有していないものが法律に定める特定の名称を名乗ることができない資格。また、名称独占の資格に類似したり、名称独占資格に関連している資格のように紛らわしくした名称を使用することが禁止されている」

 

とされています。

 

つまり、名称独占資格とはその資格名は資格を持っている人しか名乗ってはダメだけど、業務自体は誰でもやっていいという資格です。

 

名称独占資格の一覧はこちらのサイトを参照ください。

 

名称独占資格は数が多いからなのか、総務省のページでは探すことができませんでした。

 

名称独占資格の一覧をまとめたサイトの中には、理学療法士や作業療法士は、含まれているところと含まれていないところがありました。

 

う~む、、、いったいどうなっていることやら。

 

業務から考えると、やはり名称独占資格だと思うのです。

 

そもそもリハビリも仕事を、リハビリしかできなくなると困ります。

 

他職種でも協力してリハビリをやっていくことで効率は上がるし、患者さんの家族にもリハビリ的な視点をもち、接してほしいところもあります。

 

リハビリの仕事は独占するのではなく、共有するほうがいいと思うのです。

 

はい。ここで思いませんでしたか?

 

「みんながリハビリの仕事をできるようになったら、療法士の価値がなくなるんじゃないの?」

 

と。

 

療法士に限らず、名称独占資格はその悩みにぶち当たることがあります。

 

たしかに業務独占資格に比べると、一見価値が低いように思えるかもしれません。

 

業務独占できている方が、市場価値が高く、特別な業務をしているように感じるからでしょう。

 

ですが、名称独占資格はすごい力を持っています。

 

前述したように、リハビリは他職種や家族を巻き込んで行うことで、何倍にも効果が高まることがあります。

 

みんながある程度同じ視点を持ち、技術力が上がったとしましょう。

 

ですが、その中心にいるのは間違いなく療法士です。

 

そして療法士が学んできたことを、他の職種や家族が多少学んだところですべてを把握できるほど浅い学問ではありません。

 

療法士がより勉強しより専門性を高め、その専門的な知識や技術を周りに共有し、そのことでより効果が高まる。

 

名称独占資格はそんな可能性を持っている資格です。

 

意味がなくなんかないです。

 

業務独占資格と比較する必要もありません。

 

むしろ、業務を独占することで、不自由を感じる場合すらるのかもしれません。

 

私は、業務独占や名称独占という名称だけに惑わされず、その可能性を存分に生かして業務に取り組んでいます。

 

 

設置義務資格について

 

業務独占資格や名称独占資格とは別に設置義務資格というものがあります。

 

設置義務資格とは

 

「事業を行う際にその企業や事業所に特定の資格保有者を設置しなければならないと法律で定められている資格」

 

のことです。

 

業種や従業員数、顧客によって一定数の資格取得者の存在が義務付けられている資格なので、場所によって設置しなければならない人数が変動するものや、一人いればいい場合もあります。

 

病院であればもちろん医師が必要ですし、訪問看護ステーションであれば、必ず看護師の設置が必要です。

 

ここまで読んでいただいた方もうわかっているかもしれませんが、

 

業務独占資格と名称独占資格と設置義務資格は、それぞれに明確に分かれているわけではなく、それぞれにまたがった資格がほとんどです。

 

もはや形式上、種類を分けているだけで、それぞれの資格であることにそこまでこだわらなくてもいいのではないかと思います。

 

ですが、一点だけ注意するのであれば、「違反」となる場合です。

 

業務独占資格の業務を他の職業が行ってしまうと違反となります。

 

資格を持たずに名称独占資格を名乗ると違反になります。

 

ここは知らず知らずのうちに違反してしまわないように注意しなければなりません。

 

なぜ俳優や女優はドラマの中で医師を演じても違反にならないのか

これまで業務独占資格や名称独占資格について述べてきましたが、堂々と国民の前で医師でもないのに医師を名乗る人たちがいます。

 

それは女優や俳優です。

 

医師の資格はもっていなくとも、ドラマなどではっきりと医師を名乗り、それらしい立ち振る舞いをします。これが違反にならない理由、、、それは

 

ほとんどの人が架空現実だとわかっているから

 

です。

 

ドラマを見て「あの人医師でもないのに医師の資格を語りやがって‼訴えてやる‼」と考える人はほとんどいないでしょう。

 

しかし、病気や治療方法についてはたとえドラマの中であっても信じてしまう人が多いので、間違っている場合には関係各所から苦情や訂正放送の指示、最悪放送中止になる場合もあります。

 

整体院を開業したけど、そのまま療法士の資格を名乗るのは大丈夫?

我々療法士はそのままの資格を用いて開業することは日本ではできませんが、柔道整復師などの資格をとり、整体院などを開業する人がいます。

 

「元理学療法士が、整体院を開業しました」

 

だと大丈夫かもしれませんが、

 

「理学療法士が整体院をやってます」

 

だと正直微妙です。

 

名乗り方に問題があります。

 

療法士の資格を持ってはいるが、柔道整復師などの資格で整体院を開業などした場合、療法士として働いているわけではありません。

 

確かに理学療法士と名乗ったほうが信頼度も上がるし、箔がつくかもしれません。

 

ですが、あくまで現在は療法士ではなく、”元”療法士であることにしたほうがいいです。

 

また、ただ名乗っているだけでは、誰も被害を受けていませんが、あまりにも稼いでいてだれかに妬まれ、あらを探すように「あの人現在は理学療法士として働いていないのに、理学療法士を名前をかたって荒稼ぎしてますよ」と訴えられると、負ける可能性はあります。

 

社会的な影響、仮想現実と現実の境界、一般的な常識などいろいろなことを加味して考える必要があるかと思います。

 

療法士は業務独占資格を目指すべきなのか

 

業務独占資格や名称独占資格のことで療法士感で話していると、「療法士は業務独占資格を目指すべきなのか」という議論に行きつくことがあります。

 

目指そうとして目指せるものかはわかりませんが、結論から言うと、目指す必要はないと考えています。

 

療法士の仕事を療法士しかできないように縛ってしまうと、あまりにも不便です。

 

療法士が行う治療の中には物理的な力を用いる物理療法があり、使い方によっては危険であることには変わりありませんし、関節可動域訓練もやり方によっては危険を伴う場合があります。

 

専門的な知識をもって行うにこしたことはありませんが、業務を独占してしまい他職種や家族が関節可動域訓練をできなくなると、全体的な治療効率が下がり、デメリットの方が大きいと考えています。

 

以前は医師や看護師しかできなかった吸引も、研修を受ければ療法士や介護福祉士でもできるようになりましたし、むしろ安全が確保されれば、業務を縛らず色々な方ができるようになった方が、圧倒的に治療効率がいいです。

 

週に1回しか訪問しない療法士が関節可動域訓練や筋力訓練を実施するよりも、そこで働くスタッフやその家族が安全にできるようになり、毎日実施した方が治療効果が上がってくるでしょう。

 

まとめ

 

今回は業務独占資格と名称独占資格について学びました。

 

違反にならないためにはしっかりとその定義を把握しておくことは必要ですが、それぞれの資格の特徴を生かした働き方ができると思います。

 

名称独占資格の強みをぜひ生かしていきましょう。

 

 

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